Rigid Airship  2006年4月17日 更新 HOME
初飛行 1900 1910 1914.05.11 1916 1918
名称

乗員/乗客
全長
直径
容積(m3)
浮揚ガス
セル数
死荷重
Engine



最高速度
上昇限度

航続時間
搭載量
武装
備考
LZ.1

5
96m
11.73m
11,327
水素
17

Daimler
水冷直列4気筒
14.2PS * 2


26km/h
300m

80min


世界初の硬式飛行船 2. 陸軍の要求をクリアできず、数回の試飛行の後、1901年に解体 貴重なデータを残す 3. 骨格はアルミ
LZ.7
Deutschland
/32
148m
14m
19,300
水素
18

Daimler
水冷直列4気筒
120PS * 3

60km/h


1,600km
6,800kg

DELAGが領収した2隻目の旅客飛行船 2. ガス嚢を伸縮性の良い素材(牛の盲腸を布に張り加工したもの)に変更
L.3 (LZ.24)

15
158m
14.9m
22,470
水素
18
16,910kg
Maybach C-X
水冷直列6気筒
210PS * 3

80km/h
3,125m

2,200km
9,200kg

開戦時に海軍が保有していた唯一の船 15年1月: 英本土初空襲
に参加 15年2月: バルト海で洋上哨戒中全エンジン停止−不時着後大破
L.30 (LZ.62)


198m
23.9m
55,200
水素
19
36,186kg
Maybach HSLu
水冷直列6気筒
240PS * 6


103km/h
5,300m
戦闘荷重5t
7,400km
27,721kg
MG * 10+
戦闘荷重5t 最大浮力64t 2. デザインを一新し空力的に洗練された「スーパー・ツェッペリン」プロトタイプ 3. 1920年に戦時賠償としてベルギーに引き渡される
L.71
(LZ.113)


211.4m
23.9m
62,191
水素
15

Maybach
Mb.IVa
水冷直列6気筒
260 * 7
117km/h
6,400m


44,042kg

米本土爆撃を想定し、建造された航続距離5000マイル(約8000km)のスーパー・ツェッペリンXクラス 2. 戦後イギリスに渡る
初飛行 1919.08.20 1928.09.18 1911.10.17 1914.02.28 1916.03.30
名称

乗員/乗客

全長

直径
容積(m3)

浮揚ガス
セル数
死荷重

Engine


最高速度

上昇限度

航続距離

搭載量
備考
LZ.120
Bodensee

乗客 16
改装後 21-24
120.8m
130.8m
18.6m
20,000
22,500
水素
12 | 13
13,646kg
14,700kg
Maybach Mb.IVa
水冷直列6気筒
260PS * 3
132km/h ?
127km/h


2000km
2200km
10t
ベルサイユ条約の制限内で造られた戦後初の旅客飛行船 2. 戦前に成し得なかった定期運航を実現 21年7月: イタリアに渡りEsperiaと改名 28年7月: 解体処分 3. 燃料にブラウガス
LZ.127
Graf Zeppelin

40-45 / 20

237m

30.5m
105,000

水素
17
60t

Maybach VL2
水冷V型12気筒
540PS * 5

128km/h
巡航 117km/h
無動力時
2,500m
10,000km以上

60t
9年間の生涯で世界一周やブラジルへの定期運航を含む総飛行回数590回、1万7178時間、169万5272km、旅客1万3千百名を運ぶ−死傷者無 40年に解体
Schutte-Lanz
SL.1



131m

18m
19,500

水素
15
4,500kg

Daimler J8L
水冷8気筒
240/270hp * 2
71km/h

1,600m




ヨハン・シュッテ教授がマンハイムの企業家カール・ランツの出資で開発。 2. 特許の関係上木製骨格で建造された最初の硬式船 3. Schutte-Lanz式特有の大圏構造は、後に英国の飛行船にも採用されている 4. 生産数各型計22隻
Schutte-Lanz
SL.2



144m
改装後 156m
18.2m
24,500
27,800
水素

8t

Maybach C-X
水冷直列6気筒
180PS * 4

88km/h
89km/h
2,500m

24h


昇降舵と方向舵を十字に配置し、密閉式ゴンドラを採用した初の近代的飛行船(Zeppelinが十字尾翼になるのは14年8月に初飛行したLZ.27) 2. 木製骨格 3. 陸軍が開戦時に保有していた唯一のシュッテ・ランツ飛行船 16.1.10: 嵐により破壊されるまで戦い抜く
Schutte-Lanz
SL.8


174m

20.1m
38,700

水素

20t

Maybach
240hp * 4

92km/h

3,700m




海軍で使用

一回り小さい
SL.7

たぶん同型艦
SL.10
初飛行 1917.09.10 1911 1917.9.19 1919.3.14 1930.12.16
名称

乗員/乗客

全長
直径
容積(m3)
浮揚ガス
セル数
重量
Engine


最高速度

上昇限度
航続時間

搭載量



備考
Schutte-Lanz
SL.20


198.3m
22.96m
56,000
水素

35,500
Maybach
240hp * 5

104km/h

4,500m






最後期型 2. ジュラルミン骨格 3. 海軍で使用 18.1.05: 格納庫内での爆発事故に巻き込まれ破壊
HMA.1
Vickers Mayfly
20

156.1m
14.6m
18,788.7
水素
17

Wolseley
水冷V型8気筒
160hp * 2
67.6km/h

457m +
74km/hで
24h巡航
20.30t



イギリス初の硬式飛行船 2. ドイツの急速な飛行船開発に対抗し、海軍により発注される 11.9.24: 初飛行時に大破−性能は要求値 3. ゴンドラに浮袋(これ以後開発された英軍用飛行船の標準装備)
HMA.23



162.8m
16m
26,673.4
水素


Rolls-Royce
250hp * 4

88.5km/h

914m


6t



船体上部に2ポンド砲とルイスMG 1918.11.6: フックで吊ったソッピース・キャメルの離艦に成功
R.33
−ドイツでも同様の実験(18.1.26: Albatros D.3) 同型艦4隻
R.34

23-32+17
(1921.8.24)
194m
24m
55,460
水素


Sunbeam Maori
V型12気筒
250hp * 5

87km/h




26.50t



世界初の航空機による大西洋横断・往復に成功 1919.7.2-6: スコットランド・イーストフォーチュン→ニューヨーク(108h) 7.9-13: ニューヨーク→ノーフォーク州・プルハム(75h) 総飛行距離 10187km 183h8min 同型艦 R.33
R.100

44/100

219.4m
41.55m
141,585


53,668kg
Rolls-Royce
Condor
670 * 6

131.16
(1930.1)



72.57t
乗客+25t
総浮力
15万9052kg
1930.7-8 カーディントン→カナダ・モントリオール大西洋横断飛行 2. バーンズ・ウォーリス大圏(測地線形)構造 3. 別名「資本主義号」速度記録は未だに破られず

DELAG (Deutsche Luftschiffahrt Aktiengesellschaft.)

 ツェッペリンにアルミを供給していたベルク社の社主、カール・ベルクの婿、コルスマン(Alfred Colsman) の働きにより実現した世界初の民間飛行船航空会社。 社長はツェッペリン伯の後継者であり、コルスマンの信用も得ていたヒューゴー・エッケナー博士。 戦争によって中断されるまでの間に、所有する7隻の船で計1588回、延べ172535km、旅客10197人を運ぶ。(数字は諸説あり) その間、3隻を失っているが死傷者は無かったという。 因みに航空券の価格は200マルク(当時の平均的労働者の2週間分の給料 欠航した場合でも払い戻しは無し)



ブラウガス (Blaugas)

 ヘルマン・ブラウ博士が発明した石油気化ガス エチレン、メチレン、プロピレン、ブチレン、水素、エタンを含む。 重さは空気の約1.2倍。
 成分: ベンゼン 0.6% / エチレン 13% / プロピレン 26% / ブチレン 13% / メタン 25% / エタン 16.4% / 水素 5% …



カーチス F9C 「スパローホーク」
 (1932)

  
  Curtiss F9C-2 Sparrowhawk

 Wright Whirlwind
 空冷星型9気筒 420hp
 全幅 7.8m 全長 6.1m 全高 2.1m
 翼面積 17.22m2 重量 1248kg
 最大速度 284km (1220m)
 上昇限度 5800m
 航続距離 590km
 武装 MG * 2



ヒンデンブルグ号の事故原因について

 LZ-129 Hindenburg号の事故は、静電気が(この船から使用された)表面塗料(セルロース、アセテート、硝酸カリ、アルミニウム粉を含む)に引火したのが主な原因です。 百数十隻もの軍用、民間用硬式飛行船を就役させ、世界一周まで成し遂げたドイツの飛行船乗りは水素の取り扱いに馴れていました。
名称
乗員/乗客
全長
直径
全高
容積(m3)
浮揚ガス
セル数
Engine



最高速度

上昇限度
航続時間




搭載量
武装

備考
ZRS-4 Akron
60-76
239.26m
40.5m
44.7m
209,567
ヘリウム

Maybach
560hp * 8

垂直/逆方向に
プロペラ変向
130km/h
巡航 96
5,000m
134km/hで
4,800海里
73.8km/hで
13,000海里
(計画値か?)
72.8t
MG * 16
F9C * 5
海軍の長距離哨戒用大型硬式飛行船 戦闘機の空中収容・発進が可能−船体中央下部に格納(長さ21.3m 幅17.7m 高さ4.9m)船底にT字型スライドドア(幅9.8m 長さ12.2m) 2. 同型艦「メーコン」 31.11.3: 207名搭乗の新記録達成
Zodiac SPESS

140m
13m

16,400
水素
17
Chenu
200CV * 2


70km/h










気球専門の老舗
ゾディアック社
(Maurice-Mallet 1861-1926 が1896年に創設、1911年改名)で建造された仏唯一の硬式飛行船 2. 名前が木槌だけに木製骨格

付録@: DERAG が就航させた全飛行船性能一覧
No. 船名 初飛行 全長 /
直径 (m)
容積
(m3)
総浮力
(kg)

発動機 出力
(hp)
巡航
速度
航続
距離
LZ 6A 船名なし 1909. 8.25 144 / 13.1 16,000 17,400 12 Daimler J4L
Maybach A-Z
115 * 2
140 * 1
54
km/h
200
km
LZ 7
LZ 8
Deutschland
Ersatz-Deutschland
1910. 6.19
1911. 3.30
148 / 14.0 19,300 22,398 20 Daimler J4F 120 * 3 60 1,600
LZ 10 Schwaben 1911. 6.26 140 / 14.0 17,800 20,647 20 Maybach A-Z 150 * 3 71 1,450
LZ 11
LZ 13
Viktoria Luise
Hansa
1912. 2.14
1912. 7.30
148 / 14.0 18,700 21,700 25 Maybach B-Y 170 * 3 71 1,126
LZ 17 Sachsen 1913. 5.03 158 / 14.9 20,870 26,100 25 Maybach B-Y 180 * 3 75 2,253

LZ 120 Bodensee 1919. 8.20 121 / 18.6 20,000 23,200 24 Maybach Mb IVa 245 * 4 130? 1,690
Orion Books刊 R.E.G Davies著 Lufthansa: An Airline and Its Aircraft より

付録A: 飛行船に搭載された発動機の性能一覧

付録B: DERAG による旅客飛行船の運航実績
No. 船名
(母港)
初飛行 就航期間 輸送人員
/ 乗客
飛行
回数
総飛行
時間
備考
LZ 7 Deutschland
(Dusseldorf)
1910. 6.19 1910. 6.22 - 1910. 6.28 200/ 142 7 20 発動機故障+
嵐に遭い難破
LZ 6A 船名なし
(Baden-Baden)
1909. 8.25 1910. 8.21 - 1910. 9.14 1,100 / 726 34 66 格納庫内で焼損
LZ 8 Ersatz-Deutschland
(Frankfurt)
1911. 3.30 1911. 4.11 - 1911. 5.16 458 / 129 22 47 出庫時に横風に
遭い座礁
LZ 10 Schwaben
(Baden-Baden)
1911. 6.26 1911. 7.15 - 1912. 6.28 4,354 / 1,553 218 480 格納庫内で焼損
LZ 11 Viktoria Luise
(Baden-Baden)
1912. 2.14 1912. 3.04 - 1914. 7.31 9,738 / 2,995 489 981 海軍に練習艦
として移籍
LZ 13 Hansa
(Hamburg)
1912. 7.30 1912. 8 - 1914. 7.31 8,321 / 2,187 399 841 軍に徴用される
LZ 17 Sachsen
(Leipzig)
1913. 5.03 1913. 6 - 1914. 7.31 9,837 / 2,465 419 741 軍に徴用される
総 計 1910. 6.22 - 1914. 7.31 34,028 / 10,197 1,588 3,176 乗員、乗客に
死傷者なし
LZ 120 Bodensee
(Fried-richshafen)
1919. 8.20 1919. 8.21 - 1919. 12.5 4,050 / 2,253 103 531 戦争賠償として
引き渡し
Orion Books刊 R.E.G Davies著 Lufthansa: An Airline and Its Aircraft より
メモ: 総浮力 gross lift
ガス袋の全膨張時における浮力
ガス容積 1,000m3 あたりの地上における浮力は、標準大気の場合、水素で約 1.12t 、ヘリウムで約 1t - 地人書館 「航空宇宙辞典」

細長比 さいちょうひ
流線型物体の長さと幅、または厚みとの比。 軸対称回転体では、ある与えられた容積に対して抵抗が最小となる比は l/d ≒ 3 から 5 の間であたえられる。 - 地人書館 「航空宇宙辞典」

参考サイト 流れの力 http://www.asahi-net.or.jp/~tv9s-kbys/others/swim/stream/suiei1.htm

付録C: ドイツ海軍が保有した60隻の飛行船の末路
気象災害(暴風、雷など) 16 27%
取り扱い事故(爆発など) 10 17%
撃墜 16 27%
老朽化、自沈(終戦時)、連合国へ引き渡し 17 28%
原因不明 1 0.2%
航空情報 1971年7月号
付録D: ロンドンを空襲した飛行船と飛行機の実績比較
空襲回数 死 者 負傷者
飛行船 飛行機 飛行船 飛行機 飛行船 飛行機
1914 --- 2 --- --- --- ---
1915 20 4 207 2 530 6
1916 22 16 292 18 731 61
1917 6 33 40 659 75 1,551
1918 3 8 12 182 59 423
51 63 551 861 1,395 2,041
田中新造著 「飛行船の雑学」より
付録E: 飛行船と飛行機の性能比較
初飛行 全長 発動機 速度 上昇限度 航続距離 搭載量/爆弾 備考
L 3 (LZ 24) 1914 158m 200hp * 3 80km/h 3,000m 2,200km 9.2t / 360kg ---
Morane-Saulnier N 1914 6.7m 110hp 165km/h 4,000m 1.5h MG * 1 短座戦闘機
L 70 (LZ 112) 1918 211m 290hp * 7 131km/h 7,000m 12,000km 44.5t / 3.6t 高空飛行船
De Havilland DH.4 1916 9.3m 375hp 230km/h 6,700m 3h45 MG * 2 複座爆撃機
参考になるゲーム Dawn of Aces http://www.dawnofaces.com/fs_doa.html
メモ: 高空飛行船 Height-Climber ハイトクライマー

高射砲や戦闘機から逃れるため、高空飛行に特化(軽量化、流線型化)した畸形的飛行船
L 42 (1917) 以降の軍用飛行船はすべてハイトクライマー

軽量化の内容
船体フレームを軽量化、爆弾搭載量半減、燃料容量減少、機銃の撤去、乗員室、休憩室の除去、指令ゴンドラの縮小…
軽量化による弊害
船体強度の低下
⇒ 低空における旋回や速度の制限、係留塔使用不可
仏に引き渡されたハイトクライマー (Dixmude) は、低空で乱暴な操舵をしたため地中海の藻屑と消えている

その他…

高空飛行における障害
高山病と低温…
6,000mで-30度 船内に暖房設備なし
圧縮酸素瓶内の不純物(石油、グリセリンなど)混入による脱力、嘔吐…

地文航法が困難
⇒ 基地局からの無線信号による方位確認への依存
送信時に自位置を敵に暴露
アルコールと水が混合されている液体コンパスでさえ凍結した例あり
⇒ 対流圏(自由大気)上層という「未知の領域」での偏流による航法誤差の拡大

キーワード: 低酸素症 低温障害 偏流修正 自由大気

参考資料:
ダグラス・ボティング著 「マンモス飛行船の時代」
ブイヤント航空懇談会制作 「とべ!飛行船」